六甲山を臨む神戸学院大学附属高校野球部の専用グラウンド。
卒業生の徳永加津也さんが、トレーナーを務めている現場だ。
柔道整復学科で担任を務めた福田 学先生が、彼のもとを訪ねた。
福田 学
柔道整復師。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師。本校教員として後進を育成しながら、『福田整骨院』院長として、臨床現場に立つ。明るい人柄とアツいハートでクラスをまとめる
徳永 加津也さん
1993年生まれ、大阪府出身。柔道整復師。香川西高校野球部で活躍後の2012年、本校に入学。現在、高槻市の『土居整形外科』に勤めながらパーソナルトレーニングジムの経営、トレーナー活動を行う
きみはよく電話で近況報告をしてくれるから、あまりごぶさたな感じはしないね。
直接会うのは半年ぶりですかね?
今日の取材に際して徳永くんの学生時代の印象を思い返してたんだけど……。きみの学年はとにかくやんちゃで。同級生の面倒を本当によく見てもらったから、「サブティーチャー」って感じやったなあ。
3年のときですね。
皆に勉強を教えてくれたおかげで、クラス全員、卒業試験に合格したからね。
先生が「人に教えることで知識が定着するよ」とアドバイスしてくださったからです。
あの学年は手を焼いたけど、その分、印象深かった。「この手で治療したい」「この手で稼ぎたい」「社会で成功したい」という気持ちが強かったなあ。
確かに!でもそれは先生の影響です。柔道整復師の仕事の醍醐味や現場のリアルを学べたから、そんな気持ちを持てた。クラスの仲が良かったのも、「人とのつながりを大事に」と教えてもらったからです。
それは僕のポリシーなんだ。人とのつながりが、仕事や経験に広がりを与えてくれると思っていて。今、ここ(神戸学院大学附属高校野球部)でトレーナーをしているのも、つながりがあってのことだよね。
はい。香川西高校野球部時代の恩師である岩上昌由先生が現在、こちらの監督なんです。
頑張るきみを見て履正社柔整に入学した高校生もいるし、多くの卒業生がこちらでもトレーナーとして関わってるよね。つながりを作ってくれてありがとう。
神戸学院大学附属高校野球部にて。多くの選手が徳永さんに身体の相談をしに集まる
新しい柔道整復師像を求めて。
きみは普段、土居整形外科のリハビリ現場で貪欲に知識と技術を吸収しているよね。その実務経験をスポーツ現場で活かしてるの?
そうですね。選手の身体を少し触った時の反応で気づくこともあって、経験が活きています。
柔道整復師の専門領域である骨折や脱臼、捻挫などの「固定」といった、外傷の処置もできるしね。ところで将来は、独立を考えてるの?柔道整復師として、どんな働き方を思い描いてるのかな。
スポーツを頑張る人たちが迷わず医療機関に飛び込める環境を作りたいんです。ケガが治った後の身体作りも提供したい。だから今、パーソナルトレーニングジムも経営しています。僕は地域の人を支えたくて。地域に根差した活動がしたいのは、それが柔道整復師の本来の姿だと思っているからです。
きみの活動は柔道整復師としてスポーツ現場に関わりたい在校生や高校生のみなさんにとっても、きっと参考になると思うな。
徳永さんの勤務先上司であり、もう一人の師匠と慕う細川裕二先生と
「履正社、いいよね」と言われる理由。
さっき先生が僕の学生時代を振り返ってくれましたが、僕からもいいですか。実は柔道整復学科に入学する前、気持ちが緩みそうになったんです。でも、先生に出会って「ちゃんとしなきゃ」ともう一度、襟を正すことができました。何事も真摯に向き合うという、人として大切な姿勢を教えてもらったことは僕の原点になっています。先生は人一倍アツかった!
なにしろクラスがやんちゃだったし(笑)。
3年間、担任の先生が同じだったから絆も一層深まりました。いつも職員室を訪ねていたし。
職員室がオープンなのは、今も変わらないよ。
職場で、他校出身の方から「履正社、いいよね」とよく言われます。先生との距離感が近いのもそうだし、卒業後の関係もしっかりしているって。
それはうれしいなぁ!
※肩書き、インタビューの内容は取材当時のものです
先生、ごぶさたしています。