コロナウイルスの感染拡大が止まらず、厳しい状況が続いています。当たり前だった生活ができなくて不安になることもあると思いますが、感染は必ず収束しますから、縁あって履正社に集まった皆さんと私たち、ここは一致団結ともに乗り越えましょう。(本稿は2020年5月1日記載)そのためには、一人ひとりが今やるべきことを考えて下さい。どうしても生活のリズムが崩れがちですが、朝、普段の生活と同じ時間に起きて、勉強や運動をして、三食食べて、夜更かししないで寝る、「早起き早寝」の自己管理をお願いします。
特に睡眠は人間が生きていく上で大切なようです。みなさんも「解けない!考えがまとまらない!」と悩むことがありませんか。そんな時、思い切って「寝る」といいそうです。まさかと思うでしょうが、NHKのTV番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」の関連本である「プロフェッショナルたちの脳活用法」を読むと、なるほどなと思いました。
それによると「千と千尋の神隠し」や「もののけ姫」で世界的に有名なアニメーション映画監督の宮崎駿さんは、創作に行き詰ると作業を中断して何度も仮眠をとったそうです。
また、量子テレポーテーションの研究者で、量子物理学者の古澤明さんは「僕は、何か難しい問題があると早く寝るんです。寝ている間に脳の中で整理されるのか、朝起きてみると結構問題が解けていたりするんですよ。」と語っています。
「20世紀少年」の作者で漫画家の浦沢直樹さんも「1日中悩んで、さすがに脳が疲れて、半ば気絶みたいに眠りに落ちたりもします。おもしろいのは、それで1時間ぐらい経って眠りから覚めるころに『わかった!』と飛び起きたことが何度もあるんですよ。」と同じようなことを言っています。
これらのことを同番組の司会者で、この本の著者である脳科学者の茂木健一郎さんが次のように解説しています。
「人間の眠りは、レム睡眠とノンレム睡眠がおよそ90分周期で繰り返されるが、記憶の整理の一部分は浅い眠りであるレム睡眠のときに行われていると考えられている。」
「したがって、レム睡眠中は側頭葉に蓄えられた情報がアイデアとして使える状態になるまでの熟成期間に相当するという見方ができる。」
「また眠りに入る直前まで、意欲をつかさどる前頭葉から『この問題について考えなさい』という命令が出ていれば、眠りに入ったあとも脳は引き続き問題を考えようとする。」と言うのです。さらに寝る前にくよくよ悩んだ状態で寝ると、不安やストレスがどんどん膨らんでよくないことに。そのため、茂木さんは寝る前にイギリスのコメディ番組のDVDをみて寝るそうです。
なるほど。考えて、考え抜いた状態で寝ると、脳の中で直前まで思考したことや、得た情報、記憶が整理され、点と線がつながって「ひらめいた!」ということが起きるんですね。
しかし、人間の脳や身体は本当に良く出来ています。寝ていても脳が考えてくれているとは、なんと健気な働き者なのか。寝たり、起きたり、笑ったりと日々行う行為には意味がある。何万年、何億年と時間をかけて進化してきた人間の底知れぬ能力に驚かされます。
◇
先月、「吉村寝ろー」と吉村大阪府知事を心配する投稿がツイッターなどに相次ぎました。感染地帯に身を置きながらも、必死に活躍される医療従事者、新薬の研究者、医療崩壊を防ぐために不眠不休でがんばっている方々もたくさんおられます。それ以外にも様々な立場の人がコロナウイルスに立ち向かっています。奮闘する人々がゆっくり眠れるように、普通の日々が戻りますように。そのためには、元気な皆さんが不要不急の外出をしない、こまめな手洗い、規則正しく、睡眠はきっちりとって免疫力を高め健康管理をする。一人ひとりがモラルを守ること。今はそれしか個々にできる解決法はないようです。そしてこの状況を乗り切るために何が起こったか、何が問題だったかを、教訓としておいて欲しいと思っています。次の時代を切り開く英知となるはずです。