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理事長だより

Vol.12 「リーチ・マイケル選手がやって来た」

昨年末の12月22日、2019W杯ラグビー日本代表のリーチ・マイケル主将が来校、「日本スポーツと英語の新時代」と題し、その思いを力強く語ってくれました。このトークイベントは、履正社医療スポーツ専門学校の佐藤秀典スポーツ外国語学科長が、W杯まで日本代表の通訳だった関係で、リーチ選手との深い信頼関係により実現したものです。W杯以降、極めて多忙なリーチ選手ですが「大切な約束だから」と、スケジュールを調整して足を運んでくれました。絆を大切にするスピリットはまさに「ONE TEAM」、その心意気に感謝の思いでいっぱいです。

リーチ選手は15歳でニュージーランドから来日した時のことや、日本人の英語力が高まって、日本の良いところが海外に広まってほしいと話していましたが、特に私が共感したのは「スランプは誰にでもあるはず。それをどう乗り越えるか。まずはスランプだということを素直に自分で認識すること」というアドバイスです。「自分で認めることで、注意力が上がる。そうすると、周りがよく見えるようになる。だからスランプだと認識することが大事だ。」と続けて熱く語ってくれました。

「スランプ」。上手くいかない、前に進めないことは、多かれ少なかれ誰しもが経験します。夢、目標に向かって進もうとする人ほど遭遇するものです。逆に何もしない人には起こらない。スランプに陥ることは努力している証でもあります。しかし本人にとっては大変なことですよね。限界なのではないかと、絶望的な気持になってしまいます。リーチ選手が言うように、スランプであることを一早く自分で認めることで、客観的・俯瞰的に何かが見え、脱出するヒントに気づくのかも知れません。

また、このアドバイスを聞いていて、私が改めて思ったのが、「基本に帰る」ということです。壁にぶち当たってしまったとき、基本に帰ることが大切だと私は常に考えています。先日テレビで、日本で最も古い老舗旅館の方が「毎日が開業の日、毎日がオープン初日と思っている」と語っておられました。そんな精神を受け継ぎ、代々の当主が歴史と伝統のある旅館を営んでこられた事に感心しました。「初心を忘れるな」とよく言いますが、人間、時間が経つとふっと気が抜けて緩みがちです。マンネリ化の罠に陥り、大切なものを見失い、上手くいかなくなる。だから初めて経験するときの真摯な姿勢、緊張感や感動はとても大切なものです。

いよいよ4月、みなさんそれぞれに新しいステージへ踏み出します。このときの初心や情熱、心構えを忘れずにいてほしい。これから先、様々な壁が待ち構えていて、時にはスランプに悩むこともあるでしょう。そんなとき、謙虚にスランプを認め、自分を見つめ直す。そして自身の基本に戻ってみてください。

2022年、履正社は創立100周年を迎えます。あと2年、100周年を迎える前に、改めて「履正不畏」「勤労愛好」「報本反始」の建学の精神を心に刻もうと思っています。

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