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RISEISHA JOB ILLUSTRATED BOOK

RISEISHA仕事図鑑

Strength and Conditioning Coach

02

ストレングス&

コンディショニングコーチ

働くところ

・スポーツ競技場
・スポーツジム
・スポーツ施設

ジャンル

・スポーツ

目指す資格

・日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者(JATI-ATI)ほか※

どんな仕事?

ストレングス&コンディショニングコーチ(以下S&C)は主にアスリートを対象に、パフォーマンスの向上とケガ予防を目的としたトレーニングを指導する仕事です。体格や能力には一人ひとり差があり、必要なトレーニングは異なります。身長、体重、足の速さ、持久力など現在の状態を細かく把握した上で、その人の能力向上のために適切なトレーニング強度やメニューを考案します。また、チームに所属している場合は、1年間を通してオンシーズン、オフシーズンでトレーニング構成を変更し、試合に向けて最大のパフォーマンスを出せるようにコンディションを調整します。


どんな風に働くの?

学生・社会人・プロなどのスポーツチームや、大学のトレーニングセンターなどのS&C専門施設、スポーツ疾患に強い病院などで活躍しています。スポーツチームで働く場合は1年単位で契約雇用するケースがほとんど。プロチームに所属するコーチはフルタイムで働く事が多く、医療系の仕事や、フィットネス施設のトレーナーなどを兼業している場合は、土日などに学生や社会人チームに関わる事が主流です。トレーニングセンターや病院は施設での雇用となり、来訪者もチームや個人などさまざま。学生アスリートからオリンピアンまで、施設の専門分野によって対象者も変わります。


どんな知識、経験が必要?

筋力、持久力、スピード、バランスなど体力向上に関係するストレングスと、柔軟性、全身持久力など最大のパフォーマンスを発揮するために必要なコンディショニングの知識が必要です。また、スポーツトレーニングに関する幅広い知識が求められます。豊富な現場経験があるほど採用されやすいのが現状です。


資格について

必須資格はありませんが、トレーニングやコンディショニングの知識・技術が必要なため、「日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者(JATI-ATI)」、「ファンクショナル・ストレングスコーチ(CFSC認定)」、「NSCA認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)」といった資格があると有利です。また、アマチュアチームなど働く場所によっては、予算の関係上雇用できるスタッフに限りがあることも。そのためS&Cだけでなくアスレティックトレーナーの職務を兼任する場合があり、「日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)」資格が強みとなる場合もあります。

卒業生に聞きました

井上 茂彦さん

2017年柔道整復学科卒業(医療+アスレティックトレーナー)

1994生まれ。龍谷大学付属平安高等学校アメリカンフットボール部出身。柔道整復師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師など多数の医療系国家資格・トレーナー資格を持つ。2021年に独立し、自身のパーソナルジムを立ち上げる傍ら、本校卒業後から継続して大阪大学アメリカンフットボール部のストレングス&コンディショニング(S&C)コーチを務める。2023年、『関西学生アメリカンフットボールリーグ』にて、38年ぶりに1部昇格した同大学の競技力向上に貢献する

これまでの道のり

本校入学前

高校時代に打ち込んでいたアメリカンフットボールを通し、アスレティックトレーナーに出会う。ケガには湿布を張る以外の対処を知らなかったが、専門的な処置を目の当たりにしてアスレティックトレーナーの仕事に興味を持つ。看護師の母のすすめもあり、医療国家資格とアスレティックトレーナーの資格が取れる履正社を選ぶ。

本校での
学生時代

医療+アスレティックトレーナーを専攻。月曜から土曜日は、午前に整骨院でのアルバイトまたは実習に向かい、1時頃から4時頃まで柔道整復学科の授業を受講。その後、4時頃から8時頃までATの授業という過密スケジュールをこなした。日曜日は母校のアメリカンフットボール部で恩師でもあるアスレティックトレーナーのアシスタントとして現場経験を積む。

卒業後・
現在

積極的に学内外での学びや経験を積み上げた事で、卒業してすぐに大阪大学アメリカンフットボール部のストレングスコーチに就任。さらに自身の強みを向上させるため、履正社卒業と同時に鍼灸師・あんま師の資格を取るため再進学する。午前は学校に通い、午後からはパーソナルジムで勤務しトレーナー経験を積む。2021年に独立し、パーソナルジムを開業。現在はトレーニング理論の先進国であるアメリカの最新論文を読み解き、さらなる自己研鑽を続けている。


1日の流れを教えてください

9:20

コーチとトレーニングメニューについて打合せを行います。

9:30

練習開始。練習メニューの内容共有をします。

9:35

トレーニング準備のため、必要な器具を準備します。

10:00

ストレングスメニュー開始。低い姿勢で踏み込む脚力をつけるため、50キロ以上にもなるタイヤを押すメニューを指導。

12:00

練習終了。今後の目標について、チームと共有します。

12:10

トレーニングのデータ入力を終えたら、学生トレーナーとの打合せを行います。


どんな人と関わりますか?

「選手、監督、ヘッドコーチ、社会人コーチ、学生トレーナーや学生コーチなど、チームスタッフとは密に関わりますね。また、選手の保護者とも年に1、2回ほど身体作りなどについてお話させていただきます」


履正社専門で学んだことで、今活かされていることは?

「AT実習の中で、ウォーミングアップやクールダウンなど、S&Cの領域であるトレーニングの指導も実践できたのがとても良い経験になりました。ATコースの山口宗明先生にケガの評価を徹底的に、柔道整復学科の青木孝至先生に生理学と解剖学をみっちり教えてもらったことが、S&Cの仕事でも土台になっています。チーム内でケガやコンディション不良があったとき、僕の場合は柔道整復師とAT、2つの知識で外傷のケアや評価ができる。また、鍼灸師やあんま師の知識で、身体の状態を整える事も可能です。S&Cだけでなく、メディカル領域のケアもできる事が僕の強みですし、今それができるのは履正社で汎用性の高い知識と経験を得られたからだと感じます」


S&Cコーチとして心掛けていることは?

「選手と信頼関係を築く事です。チームのS&Cコーチにとって、選手との信頼関係構築はとても大切なことです。どれだけ知識を詰め込んで良いプログラムを作ったとしても、選手がきちんとメニューをやってくれないと意味がありません。トレーニングの効果を説明する事はもちろん、「この人が言う事なら」と思ってもらえる信頼関係がないとなかなか難しい。僕が大阪大学のコーチに就いたのが23歳で、選手と同世代からのスタートでした。当初は、深夜まで試合のビデオを見るなど、チームの能力向上に良くない風習が色々ありました。振り返りを行うことは良いことですが、睡眠時間が短ければケガの障害発生率も上がります。選手は前任者の指導を受けていた経験があるので、すぐに変えようとしても動いてくれません。そこで、なぜ今の習慣を変えないといけないのか、理由やデータを交えて学生と話し合いを重ねました。「一緒に強くなっていこう」というスタンスで地道な働きかけを続けたからこそ、今は耳を傾けてくれるし、組織として強くなっている感覚がありますね」


S&Cになりたい人にメッセージをお願いします

「S&Cコーチという立場でチームに関わると、自分がやってきたアプローチやトレーニングがチームにとって良かったのか、1年を通してみないと結果が分からない事が多くあります。教科書的な知識も必要ですが、経験しないとわからない事も多く経験値が重要になってきます。だからこそ、活躍できるコーチになるには学生のうちに現場に出る機会を増やす事が必要だと感じます。履正社のカリキュラムは元々実習が多いプログラムですが、僕はさらに自主的な現場経験をお勧めします。先生が担当するスポーツ現場のアシスタントを経験させてもらったり、卒業生がいるチームを紹介してもらうなど、履正社の先生方の強いコネクションを十分に使って学んでほしいと思います」

写真/倉科 直弘 文/履正社広報部
※肩書き、インタビューの内容は取材時のものです。

ダブル・ラーニング制度

「ダブル・ラーニング制度」は、学科やコースの垣根を越えて複数の専門分野を同時に学ぶことのできる、履正社独自の履修カリキュラムです。

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